春の香り:再生

4月は再生と再開の季節です。真っ白なウッドアネモネが森の中で咲き乱れ、新緑の葉が木々に茂り、日照時間が長くなり、自然が目覚め始めます。冥界の女王ペルセポネ(*1)が、暗闇でのハデス(*2)との日々から戻り、光と生命を地上に取り戻すのです。ギリシャ神話では、季節の移り変わりと春の訪れが、自然の死と再生の永遠のサイクルの一部として説明しています。この時期は休暇の時期でもあるので、屋外で過ごす絶好の機会です。

(*1) ギリシア神話に登場する冥界の女王。ローマ神話ではプロセルピナと呼ばれ、春をもたらす農耕の女神となっている(wikipediaより)

(*2)ギリシア神話の冥府の神。妻はペルセポネ(wikipediaより)

自然を取り入れる

この季節になると、私は夢中で家の中に自然を取り入れます。私のキッチンテーブルには、フレッシュな香りの鉢植えや花瓶でいっぱいです。ヒヤシンス、ジョンキル、ジャスミン、サクラソウ、スミレ、スイセンなど。花の甘い香りは、見た目の美しさだけでなく、ドーパミンやセロトニンなどの脳内神経伝達物質レベルに影響し、気分を高揚させてくれます。例えばバニラの香りは、歓びや恩恵の感情に関連するドーパミンのレベルを上昇させることがわかっています。今月は、庭で土掘りを始めたり、箱や鉢に香りのよいハーブを植えたり、球根を植えたり種蒔きに最適です。


ナチュラルフレグランス&観葉植物

香りは、私たちの家に豊かさと喜びを与えてくれます。屋外スペースや庭がなくても、香りの良い植物を楽しむことができます。玄関の脇や、人が通る道沿い、風に乗って香りを感じられる窓辺などの、最も喜ばれる場所に鉢やコンテナを置きましょう。

エッセンシャルオイルをヴェポライザーなどで使用して、春のフレッシュな気分を呼び起こす事ができます。レモングレープフルーツベルガモットプチグレンライムマンダリンワイルドシトロンセドラなどの柑橘系のエッセンシャルオイルは、気分をリフレッシュさせて活力を与える効果があります。ネロリローズジャスミンローズゼラニウムなどの高揚感のあるフローラルも、楽観的で陽気な気分を作り出し、素敵なパルスポイント香水になります。

レモンマートルとグレープフルーツをブレンドしたアクア・オレウムのディフュージョンブレンドオイル「ブライト」は、この季節にぴったりな爽やかなルームフレグランスです。「セイクレッドスペース」は、スイートオレンジブロッサムとビターオレンジの葉から蒸留されたプチグレンオイルのブレンドがベースになっており、柔らかくありながら春のように活力を与えてくれる香りです。私のお勧めは、朝(特に夜遅くまで外出した)、これらのオイルやブレンドをヴェポライザーで使用して活力を与えることです!シャワートレイに数滴たらして、一日をスタートさせるのもよいかもしれません。


アースデイと先住民の自然の叡智

4月22日は、自然環境保護への支持を示国際的なイベント、アースデイです。私は最近、植物や地球、そして自然界と私たちとの関係について書かれた最も刺激的な本のひとつ、ロビン・ウォール・キンメラー著『Braiding Sweetgrass:Indigenous Wisdom, Scientific Knowledge and the Teaching of Plants スウィートグラスを編む 先住民の叡智、科学知識、植物の教え』を読んでいます。

彼女は植物学者として、科学で自然にアプローチし、ポタワトミ族(北アメリカの先住民族)である彼女は、植物や動物は私たちの最も古い先生であるという考え方を受け入れています。美しい文章で綴られたこの本は、彼女の自然界への観察眼と、先住民の知恵の詳細さと深さに驚かされます。以下は、先住民の人々と土地や地球との関係について書いた部分の抜粋です


「アパッチ語(先住民の一部族、アパッチ族の言語)では、土地を表す語源が精神を表す言葉と同じです。双方のルーツを集めると、大地の地図と私たちの心の地図を鏡のように映し出すことができます......最近の研究では、腐葉土の香りが人間に生理的な影響を及ぼすことが明らかにされています。母なる大地の香りを吸い込むと、母と子、そして恋人同士の絆を促進させる化学物質と同じ、オキシトシンという愛情ホルモンの分泌が刺激されます。愛の腕に抱かれて、それに応えて歌うのも不思議ではありません。人を愛するか、土地を愛するかの、私たちが自分自身に課した奇妙な二分法です。土地を愛することは、内面的な事で、頭と心の外には何のエネルギーが存在しません私たちは、人を愛することは自主性はあり、力がある事を知っていて、人を愛する事が全てを変えられる事を知っています」


4月のにわか雨と植樹

4月は突然雨が降ってくる月で、英国の多くの地域で5月まで寒波の可能性があり、庭師には不安定になる時期であります。植樹にはまだ早い時期で、月末には植樹祭(木を植えることを推奨する行事)が行われます。乾燥した時期が続いていると、新しく植えたばかりの木にはたっぷりの水が必要です。小さかったり少し柔らかかったりする木には、フリースで包んで馴染むまで保温しておくと安心です。植樹は、地球温暖化防止の為に私達ひとりひとりができる最も身近な方法のひとつです。

カニリンゴの木の花は、どんな庭や大きな容器にも美しい花を添え、香りの良い花を咲かせるものもあります。この木は春に花を咲かせ、一年中楽しめる華やかな植物で、早咲きの花を咲かせ、秋には魅力的な小さなカニリンゴと印象的な葉の色を楽しめます。花の香りは、古典的な甘いリンゴの花の香りから、クローブやシナモンの様なエキゾチックでスパイシーな香りまで様々あります。カニリンゴは、酸性から中性のPHの、湿り気のある栄養豊富で水はけのよい土壌を好みます。新しい交配種は病気に強いです。 香りのある品種は、マルスの「ブランデーワイン」、マルスの「マドンナ」、マルスの「サテン・クラウド」、マルスの「プレーリー・ファイヤー」など。またマルスの「ロイヤル・レインドロップス」は、豊かなマゼンタ色の花と濃い紫色の葉が印象的です。