娘のターシャは、日本への旅行から戻ってきました。日本アルプスの壮大な杉林でのハイキングと、中山道の一部を歩いてきました。中山道は、1600年代初頭から1800年代後半まで京都と江戸を結ぶ重要な交通路であった木曽谷の大部分を通る、手付かずの自然が残る道です。
ターシャは、この道を歩いた体験を、一種の「歩く瞑想」のようだったと語っています。中山道は7世紀ごろに作られたもので、険しく、森林が多く、古き良き時代の日本を垣間見ることができる歴史ある道です。渓谷や森、山々を縫うように進み、熊が生息する手付かずの原野を徒歩で歩く事で、時間がゆっくりと流れていることを実感する事ができました。彼女は、周りにあるすべてを吸収するために、五感をフル稼働させながら、より今を感じ、周囲を意識するようになったと語っています。その些細なことが、旅の重要な思い出となったのです。
一方、ここ英国では、多くの森林がブルーベルや繊細な白色のアネモネで覆われ、オーク、ブナ、トネリコなどの落葉樹の樹冠が少しずつ鮮やかな緑色に変化し、後にさまざまな森林植物が繁茂して日陰を作り出します。都会で暮らす私たちにとって、このような美しい自然環境は、散歩やリフレッシュの場として最適です。
森林浴
宮崎良文教授は、著書の中で、自然の中に身を置くシンプルで身近な方法として「森林浴」を紹介しています。
「日本では、予防医学として注目され、実践している人が増えています。直感から生まれたこの医学は、現在、多くの科学的研究によって支持されている」
森林浴とは、森の中をゆっくりと歩きながら、葉や樹冠、日差し、森の植物、香りや音、森に住む生き物など、周りの環境に五感を働かせて注意を払うことである。宮崎教授は著書の中で、自然の中で過ごすことがストレスや血圧を下げ、免疫力を向上させ、幸福感を高めることを示す新しい研究結果を紹介しています。ある研究では、松やヒノキの香りを吸い込むと、前頭前野の脳活動が著しく落ち着き、リラックス時に高まる副交感神経の活動が高まることが示されたそうです。また、このような研究では、安らぎやリラックス感を高めるためには、特定のアロマオイルや植物の香りを楽しむことが重要であることが示されています。
自然療法
私たちの体は、何百万年もの間、自然とともに生きるよう適応してきました。現代社会で生活していると、私たちの体が恒常的に過負荷状態にある事がよくあります。今日、世界人口の50%以上が都市部に住んでおり、テクノロジーやソーシャルメディアにの重要性が高まる事で、このストレス状態は増すばかりです。だからこそ、五感を通して自然と触れ合うことで、本来の自然界との関係に近づけ、リラックス状態をもたらす事ができるのです。
現代社会では、ストレスに起因する疾病が増加しており、伝統的な療法や、自然を資源とする療法が見直されています。自然療法は、生理学的なリラックス効果を高め、ストレスによって低下した病気に対する抵抗力を高めるという予防医学的な側面があります。森を歩きながら自然を観察する「森林浴」は、日本だけでなく、スコットランド、イギリス、北欧、アメリカなどでも実施されています。
森林浴は、森の中を2時間以上、ゆっくりとしたペースで歩くのが基本です。携帯電話の電源を切り、周囲の環境を吸収し、「今、ここ」に身を置く時間を持ちます。普段はなかなかできないことですが、これはとても有益です。
森をイメージしたアロマオイル
エッセンシャルオイルは、都会にいながら森林の自然を感じることができるアイテムです。パイン、シダー、スプルース(トウヒ)、ユーカリ、ヒノキ、ジュニパー、マートル、ベイローレルなどの他、シナモン、サンダルウッド、アミリス、ティーツリー、さまざまな種類の樹木の木や針、実から得られる芳香物質があります。また、ミルラ、フランキンセンス、エレミなど、樹木のオレオガム樹脂から作られるものも数多くあります。
アクア・オレウム「マウンテンエア」ディフュージョンブレンドは、これらのウッディな植物オイルを多数組み合わせ、独自の相乗効果を生み出しています。浄化効果のある高地針葉樹種をベースにしています。(ディフューザーやオイルバーナーなどで)空気が浄化され、リラックス感をもたらし、全体的な治療効果を発揮するウッディなエッセンシャルオイルをいくつか紹介します。
ベイ ローレル(Laurus Nobilis): 濃緑色で光沢のある葉と黒い実が特徴の常緑樹。西インド諸島のベイオイル(Pimenta Racemosa)とは違います。淡く流動性のあるエッセンシャルオイルで、フレッシュでスパイシーな薬草のような香りの葉から水蒸気蒸留します。浄化作用があり、風邪やインフルエンザ、悪寒などのウイルス感染対策として、ルームディフューザーとして使用することができます。テネリフェ島にある樹齢数百万年の古代月桂樹の森を歩いたことがありますが、この森は水分を含んだ「雲」を作り出し、地域の気候に影響を及ぼします。
シダーウッド・アトラス(Cedrus Atlantica): 針葉と丸い円錐を持つピラミッド型の常緑樹です。硬木で、精油を多く含むため強い芳香があります。アルジェリアのアトラス山脈が原産ですが、イギリス、ヨーロッパ、アメリカの至る所で栽培されています。木片から水蒸気蒸留されたオイルは、ウッディバルサミコ調の香りが心地よく、心を落ち着かせます。気化させると、咳や気管支炎を和らげる効果があります。また、天然の防虫・防蛾剤としても使用できます。
サイプレス(Cupressus Sempervirens): 細い枝と円錐形の彫像のような形をした常緑高木で、英国、ヨーロッパ、アジアの庭園によく植えられています。小さな花を咲かせ、茶色がかった灰色の丸い円錐形の実をつけます。この木の針と小枝から水蒸気蒸留されたオイルは、スモーキーで甘くウッディな香りが特徴で、心を落ち着かせ、温め、安らぎを与えてくれる素敵な香りです。呼吸を楽にし、空気を浄化する作用があり、アジアやアメリカでは伝統的に「浄化」のための煙として使われています。
ジュニパーニードル(Juniperus Communis): 青緑色の細い硬い針を持つ常緑低木で、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸の全域で見られます。小さな花を咲かせ、青黒い小さな丸い実をつけ、これは松のようなものです。針からはサビネンを豊富に含むオイルが採れ、これがジュニパーベリーオイルと区別する主な要因となります。このオイルは、フレッシュなバルサミコの香りで、呼吸を楽にし、優れた芳香剤となります。香水用としては、ベリーオイルが優れているとされています。
パインニードル(Pinus Sylvestris): 赤褐色の樹皮、長く硬い針、尖った褐色の球果が特徴の常緑高木。北欧を含む北半球の高地に生息する松の一種。このエッセンシャルオイルは、実際にはシベリアモミから蒸留されたものですが、一般にはパインニードルオイルと呼ばれています。フレッシュなバルサムの香りで、気分を高揚させ、リフレッシュさせてくれます。風邪や寒気、頭をすっきりさせ、天然の空気清浄、防腐剤、抗ウイルス剤、殺菌剤としての効果もあります。
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